2012年3月20日火曜日

親のための「子供の踊り」について~真剣な遊び~

「TED」という世界の各部門の専門家のレクチャーを無料動画配信しているサイトがあります。
「TED」は1984年に設立された非営利団体で名称は、テクノロジー、エンターテイメント、デザイン、の三つの頭文字に由来、その根源はIdeas Worth Spreading(世界中に勝ちあるアイデアを広げよう)という考えです。とにかく世界が共有する末来について、学術、エンターテイメント、デザイン、など様々な専門家のアイデアはけして難解ではありません。アルゴアや、U2のボノ、ビルゲイツもいますが、まさに「世界を作り上げ行くリーダー」たちの講義それぞれ刺激的です。日本語訳もあるので、ぜひ一度ご覧になってみてください。 

その動画の中で昨年の TEDアワード「2011 TED Prize」を受賞したパリのJRというアーチストがいます。若干27歳にして写真家、活動家など多彩な顔を持ち、”自由”、”アイデンティティ”などのテーマを扱った巨大なグラフィティ作品で世界的に知られているようです・・・とにかく本当に素晴らしいと感じました。動画を見ていただいた方は理解しやすいと思いますが、やっている事自体はシンプルで「顔写真を貼る」という行為です。しかし彼の視野、スケール、遊び心といい、これは世界の人の心を揺さぶることが出来る芸術です。彼自身が楽しんでいることは最大の魅力です。

私は物事を「楽しむこと」は、物事に取り組む上でなにより大切なことであり、又成長へ大きくつなげる術であると考えています。そして「楽しむ=遊び」であると考えます。踊りも無心に踊る行為を楽しむ人と、義務で踊る人では全く魅力は違ってきます。無心に楽しむこととは、どういうことでしょうか。

シュタイナー教育というオーストリアの神秘思想家ルドルフ・シュタイナーが提唱した教育思想があります。このシュタイナー思想は霊的な考え方を含み、賛否はあるのですが、教育の面では非常に共感できる部分を多く感じます。勉強の取り掛かりは最初に鉛筆ではなくクレヨンを持たせ、ひたすら模様を書いたりするのです。つまり空間にモノを記すという遊びの行為から、字を書くという行為、字を覚える行為と進んでいくのです。押さえつけの無い遊びからは、自発的な力が生まれます。つまり「やれと言われてやるのではなく、やりたいからやるのです。」

人間の能力は必然に迫られることが知識や能力を増やす力になります。知識を増やすことは自発的に「なぜ?」と感じることです。なぜも感じないのに周りが「決まりごとだから・・」とどんどん詰め込んでいくことは、苦痛であると感じます。それが当たり前になると、なぜ?も感じずに詰め込んでいくのが当たり前となってしまうでしょう。そうなると将来は誰かに促してもらうことが当たり前になり、自分から何かを生み出すことに抵抗を持ってしまう人間になってしまいます。

又、無心の遊びは、身体をゆるめます。
筋肉は、緊張と緩和の二つの使い方しかありません。それで身体の動きが成り立っています。
ふと自分自身の身体を感じてみてください、本当にリラックスした状態でしょうか?無意識に身体のどこかに力が入っていたりしていませんか?人は身体を固めていることが多いと思います。
緩めることの方が難しいのです。不安や、心配ごとをしてみればあっという間に身体は固まります。不安でお腹が痛くなるのも、お腹をぎゅっと縮めているからでしょう。しかし踊りは緩めないとなかなか動かしにくいものです。上手く動けていない子供を見て、ついつい怒りたくなるのも親御心かもしれませんが、私自身怒るという行為は、やはり本来の成長にはあまり有効ではないと感じています。とにかく楽しむこと、遊ぶことは悪いことではなく、知識を増やし、良い踊りを生み出します。私にとって踊りとは仕事でありますがそれは「真剣な遊び」という感じです。
人に迷惑がかかる行為などは、あきらかに強く道を正す必要がありますが、得意なことや、興味のあることは、どんどん引き出すことが大切だと感じます。自発的に自分で何かを生み出す喜びが大きくなれば、それは人を動かし、きっと世界を動かす力へと繋がると思っています。


「2011 TED Prize」 JR のトーク
http://www.ted.com/talks/jr_s_ted_prize_wish_use_art_to_turn_the_world_inside_out.html



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